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“ちゃん付け”のローラ

“ちゃん付け”のローラ


白い毛のところどころに、薄茶色の斑点があり、鼻は、ほんのりピンク色。足がスラリと長く、かなりの臆病。人の気持ちがものすごくよくわかる頭のよい女の子。それが、私が小学6年生から飼っていた犬・ローラ。そんなローラを母・よしこは、ことさらにかわいがった。私や姉とちがい、ローラは、よしこの言うことをよく聞き、とても素直だったからだ。

 

私と姉は、今でこそ、よしこから、「ちはるちゃん」「りかちゃん」と、“ちゃん付け“で、呼んでもらっているが、これは、ごくごく最近になってからのこと。小さい頃は“りか”“ちはる”だったので、私は、友達がお母さんに、「さっちゃん」とか、「けいこちゃん」とかと呼んでもらっているのがとてもうらやましかった。

 

だからある日、“今日から、私のことを、「チーちゃん」と呼んでくれないか”と、よしこにかけあった。が、よしこは、「はあ~?チーちゃん??チーちゃんだなんて、おっかしいじゃない。ちはるっていう、ちゃんとした名前があるのに、そんな、ニックネームで呼ぶだなんて。それじゃあまるで犬みたいじゃない。そんな呼び方、ママは嫌いよ」。

 

ならば、と思い、“じゃー、「ちはるちゃん」と呼んでくれないか”と、よしこに言うと、今度は、「ちはるちゃん?ちはるちゃん、だなんて、おっかしいじゃない。なーんで自分の子供に“ちゃん”なんてつけなきゃいけないのよー」と、あっさり却下された。よって、私たちは、“物を言いつけられる時”と、“弱った時(病気になった時)”以外は、ちゃん付けで呼ばれる事はなかった。

 

なのに、お犬のローラときたら、ちゃっかり、よしこから「ローラちゃん」と呼ばれていた。

そんなある日、私が二階の自分の部屋にいると、庭の方からよしこの声がする。甘く弾むような声で、「ちはるちゃーん!」「ち・は・る・ちゃーん!」

 

珍しく“ちゃん付け”なので“なにかご用事でも?”と思い、「はーいっ!なーに?」と叫ぶも、よしこからの反応は何もなし。仕方なく下に降り、よしこに「なーに?」と言いに行くと、よしこはちょうど庭でローラとボール遊びをしているところだった。私がなにゆえ、ここまで来たのかを説明すると、よしこは、「あらやだ、、、」と言って、クククと笑った。そして、ローラに向かって言った。

 

「あら、、、まちがっちゃったわ、ローラちゃん。ちはるとローラちゃんのことを」。

 

高木千春

高木千春

福岡生まれ。行正り香の1つ違いの妹。「ちはるのお笑い日記」執筆中。

1件のフィードバック

  1. ちはるさん、こんにちは。よしこさんは子育てに対しても、芯のあるブレない方だなと思いました。私の父も似た感じのところがあり、子供の頃からよその子達が羨ましく思った事があります。よしこさんの「ちゃん」付の事とは違う事態でしたが…もし、私も子供の頃両親に、ちはるさんのようなお願いをしてたら、恐らくよしこさんと同じ事を言ったと思います。ローラちゃんは…別格ですね…(*^^*)何だか勝手に親近感を持ってしまいました♪

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