行正り香 オフィシャルサイト | FOOD/DAYS

ましなことを見つける。

ましなことを見つける。

毎朝、学校まで子どもたちと歩いています。次女が身体が弱い時期、 ランドセルが重たいと言われたのがきっかけです。中年女が水色のランドセルを背負って歩くのは、かなり変(笑)。でも歩きながらいろんな話をするのは楽しいものです。先日は、なんでママはアメリカに行ったの?と聞かれました。うそをついても仕方がない。正直に「大学に行けるほど勉強ができなかったから、高校を出たら働くことにしたの。でも、得意なことがひとつもなく、ましだったのは英語の発音だけ。だから大学に行く代わりに1年アメリカで英語を勉強したいと、おじいちゃんに頼んだの」と答えました。

今考えたら、勇気ある。私(笑)。文法も知らず、英語教室に通ったこともないのに、アメリカに行ってしまった。でも、ホストファミリーに作ったポテトスープをほめられて、「僕たち家族に料理をしながら、まずは短大に通えばよいではないか」と人生初の仕事をいただき、その後大学に編入できるまで、いろいろとサポートしていただいた。

あのときは、山の中に住んで、周りに何もなくて、寂しくてたまらなかった。だけど改めて考えると、なんとも美しきところに転がりこんで、なんとも不思議な出会いがあったんだな。

私の人生、行き当たりばったり。だから子どもにも「しっかり計画を」とは言いません。むしろ誰かがアドバイスをくれたときに、受け入れる柔らかい心をもってほしい。

父は17歳の私に「大学は行かんでもいい。でも働くなら働くで、おまえがやっていて、ましなことはないのか?」と聞いてきました。よい質問だったと思います。子どもたちもひとつかふたつ、他の人より「ましなこと」を見つけてもらえたらいいなぁ。それが彼女たちの未来を作ってくれるかもしれない。

アメリカのことを考えていたら、メキシコ料理を食べたくなってしまいました。こちらはソノマのメキシカンレストランで食べたエンチョラーダ。中に鶏の胸肉がはさんであって、いやぁ、おいしかったなぁ。あ〜、食べたいなぁ。

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行正 り香

福岡生まれ。広告代理店に就職しCMプロデューサーとして活躍。2007年に、広告代理店を退社。著書に、「だれか来る日のメニュー」、「おうちに帰って、ごはんにしよう。」「19時から作るごはん」など39冊がある。中国語版、韓国語版にも翻訳済。NHKワールドでは「Dining with the Chef」のホストを務め、世界に向けて日本料理をプロモートしている。

5件のフィードバック

  1. り香さん、こんばんは。

    いつも更新を楽しみに読ませていただいています。

    お料理のレシピやインテリア、
    ブログやエッセイの素敵な言葉やエピソードに、いつも支えてもらってます。

    餃子レシピの動画のバックに流れているステキなピアノ曲を教えていただきたいです。
    あんな音楽を聴きながらお料理や家事ができたらいいですね。

  2. 初めてコメントします。(ブログには何度かコメントさせていただいたことがありますが…)

    り香さんのエッセイの中でも留学時のお話が特に大好きで、いつも勇気をもらっています。
    …というのも、現在高校生の娘もやはり英語が大好きで、昔から留学をしたいと言っていました。

    大学に入ってからでもいいのでは?という先生の反対を押し切り、この夏から一年間個人留学をすることにしました。
    目の前にチャンスがあったから…これは掴むしかないと思い決心しました。

    今は私はビザ取得のための書類作成、娘は先方へ提出する英語のエッセイ作成。二人で頑張っています。

    そんな時の今日のエッセイ。
    ますます夢が膨らみました??

    もちろん娘にも読ませます(^_^)

  3. り香さんおはようございます。
    サイトオープンおめでとうございます!

    自分の得意なこと…最近痛感します。
    若い頃にちゃんと自分の得手不得手と向き合えば良かったなぁ、と。

    でも今日は人生の中で一番若い日ですから、今から向き合っても遅くないと信じて(^^)

    いつも素敵な記事をありがとうございます!

  4. はじめまして。
    初めてコメントします。

    行正り香さんのセンスとか、考え方に
    いつも関心、感動、共感…。

    素敵だなぁ、元気でるなぁ、いいなぁと、、
    心に響いています。

    ありがとうございます!

    これからも、ずっと楽しみにしています^ ^

  5. 「ましなこと」でいいんですね、なんだか嬉しい。もし「誰にも負けない、得意なことがひとつくらいあるだろう?」ってなるとハードルが高くて、「あー何もないわ…」になりますもん。
    でも、子育てをしているとつい、勉強は苦手でも音楽とか絵画とか運動で、目立って上手な何かを期待しちゃってねー、いかんです(笑)

    私も高校生の時に父から「大学へやるのは難しいから、働くかどうかして欲しい」といわれました。経済的に三姉妹みんなを大学へはやれないので公平にみんなにあきらめさせる、ということだと理解しました。もう、びっくりしました。バリバリの進学校に通って、周りはみんな大学まっしぐらですからね。
    でも、はっきり言ってくれてありがたかったです。本屋さんで専門学校の本を立ち読みしていたとき、ほぼ授業料のいらない医療系学校の情報をみつけたときの喜びといったら!寮費もいらないなんて!?25年以上前のお話です(笑)

    結局大学へは働きはじめてからでも行けたし、世の中って案外いろんな方法が用意されているんだってことがわかって、嬉しかったなぁ…。高校生の私に告げた時、父の目には涙が見えましたけれど、今は感謝でいっぱいなんです(^^)

    長くなってごめんなさい、り香さんのエッセイで懐かしく思い出しました。ありがとうございます。
    オヤスミナサイ☆

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