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最後の4本

最後の4本

みなさま、お元気ですか?沈丁花が香る夕暮れがあったかと思うと、木蓮が咲き、ここから一気に春が始まります。昔はそうでもなかったのに、最近は木を見上げては「よくがんばったねえ」と伝えてあげたくなります。もうおばあちゃんの域に達していますね(笑)。

「何かがスタートすると、何かが終わる」そんな自然の摂理を感じる季節の変わり目ですが、今回を持って、こちらのワインセレクションのお届けも、最後となってしまいました。フィラディスとの最初の出会いは、社長の石田さんとの出会いです。「クオリティーワインを、日本のみなさんにお届けしたい」というミッションを、最初から貫いておられて、「かっこいい方だな」と思いました。賞をとったワインや有名なワインを扱うのはお金さえあればできるけど、リーズナブルな価格でクオリティあるワインを探そうとすると、たゆまぬリサーチと、現地の造り手からの信頼が必要です。主にヨーロッパを中心に活動されてきた石田さんのもとに五十嵐さんがジョイントされ、その後、とびきりクオリティの高いワインもワインも扱われていて、さらには情報をエンターテイメント化されて、そこここで、複雑な香りを漂わせてくれるような会社づくりをされてきました。フィラディスのミッションが明確だったから、きっとみなさまも共感されたのではないかと思います。

私の人生は、ワインによって変わりました。まず18歳で留学したのはソノマカウンティーのサンタ・ローザです。そこは一流のワインを生産するナパやソノマの近く。ぶどう畑の風景、特に2月に咲くプラムツリーと菜の花とのコンビネーションは美しく、この畑をドライブしながら聴いたSTINGやU2のメロディーと合わさって、最高の思い出ができました。お酒が飲めるようになると、いろんなワイナリーのテイスティングに連れていってもらいました。ワイナリーに入った瞬間に感じるオークの木と葡萄が合わさった香り、ひんやりした感覚、ワイナリーで働く人たちの楽しそうな姿は、私のワインワールドを、どんどん押し広げてくれました。また友人、Bob Cabralがピノ・ノワールのメーカーとしてどんどん有名になり、事業を広げていく姿を見ることで、昔食卓で聞いた夢が、どんどん形になっていくことを見させていただきました。そしてワインの楽しさは、おいしさや香りだけにあるのではなく、作られた人の背景にあるんだな、と感じるようになりました。

1本のワインを開けるとき、私は一人の友達と会うレストランの扉をあけるような気持ちでいます。今日はどんな話をするのかな、何か新たなお話でもあるのかな、それとも、いつもと同じような話をのんびりできるのかな?その期待は時に裏切られることがあり、そして時に想像以上に答えてもらうこともあり、1本1本との発見が、ワクワクする瞬間でもあります。

みなさまと共に楽しませていただいてきた頒布会ですが、最終回ということで、今回はとびきりすばらしいワインをセレクションいただきました。赤は私が住んでいたご近所のカリフォルニアワインです!こちらのセレクションは終了してしまいますが、ぜひみなさまには、フィラディスのワインとのドキドキする時間を継続していただけたら嬉しいなあと思います。

長い間ありがとうございました!そしてまたどこかで、お目にかかれますよう!

行正り香

 

<今月のワイン>

●ヴーヴ・オリヴィエ  セクレ・ド・カーヴ  希望小売価格 4600円

甘い華やかな香り、濃厚なフルーツ感がすばらしいバランスが素晴らしいシャンパーニュです。リフレッシュするというよりは、こちら一本でリラックスするためのシャンパンです。

●ジーニ ソアーヴェ・クラッシコ  希望小売価格 3100円

リンゴとピンクグレープフルーツのソルベ、レモンライムのアロマに、ハチミツを含むような甘やかな白い花々のヒント。そこにアーモンドのニュアンスが加わり、ピュアでありながらも複雑味がある。ジーニの畑を最大限に表現した1本。

●トートワーズクリーク ピノ・ノワール アメリカ 希望小売価格 2000円

カリフォルニアのピノの果実味がお好きなかたへ。完熟したチェリーやラズベリーの香りがパワフルに立ち上がる、リッチな飲み口のピノ・ノワールワインです。

●フリークショー  カヴェルネ・ソーヴィニョン アメリカ 希望小売価格 3700円

成熟した果実味とオークを感じるフルボディーのワインです。脂ののった肉との相性は抜群です。

 

<今月のお料理>

ピノとカヴェルネ、それぞれに合うハンバーグをご紹介します!美味しいワインをゲットしたら、私がいつも作りたくなる料理です。Enjoy your food with wine!!

 

基本ハンバーグ=牛豚2:1
ハンバーグは、日本人にとって、国民的肉料理の一つかと思います。誰もが好きなのに、実は失敗する人も多い。それは肉の塩加減と、焼き時間が定まらな
いからだと思います。まずは塩加減ですが、魚には重量に対して2パーセントの塩味がよい塩梅ですが、肉ならば1パーセントが目安となります。300g
のひき肉を使うならば、粗塩3gを使えば良いということになりますが、このハンバーグのようにソースをかけるならば、その分、塩分をひかえ、300g
に対して2、5gの粗塩、(小さじ1/2)を使うと、よい塩梅となります。焼き時間はステーキと違って、ギリギリ中まで火を入れたいもの。そういうと
きは「13分マジック(p〜)」を使います。手に収まる大きさ(肉150g程度)のハンバーグに焼き色をつけたら、裏返してごくごく弱火で13分焼くの
です。長すぎるように思えますが、弱火13分仕上げが、ふっくらおいしいハンバーグの決め手となるのです。またスーパーで売っていある牛豚合挽きの比
率は牛2:豚1のはずなのに、なぜか牛ひき肉、豚ひき肉を別々に、牛2:豚1で買って合わせた方がおいしい気がします。

13分バーグ
材料と作り方(2人分)牛ひき肉200g、豚ひき肉100g、粗塩 小さじ
1/2、玉ねぎ 中1/2個(100g、3/4カップ程度)、卵1個、パン
粉1/2カップ、ナツメグ、こしょう 少々、植物油 小さじ1/2

玉ねぎはみじん切りにしてラップにくるみ、2分加熱して甘みを出す。

ボウルに玉ねぎを入れ、ここに冷蔵庫から出したばかりのひき肉、粗塩、卵、パン粉
、ナツメグ、こしょうを加えて、全体を100回ほどこねる。

2つに分け、空気を抜きながら形を整え、バットにのせたらラップをし、焼く前に冷蔵庫で
10分以上冷やして肉汁が垂れるのを防ぐ。

フライパンを中火に熱し、植物油をいれたらハンバーグをそっと入れる。1〜2分ほどで焦げ目がついたらひっ
くり返し、今度は蓋をしてごくごく弱火にして13分加熱する。

ひっくり返したりしない。ハンバーグの周りに水分が出ていればペーパータオルで拭き取り、中濃ソース大さじ2、ケチャップ大さじ2、赤ワイン1/2カップを入れる。ハンバーグにからめながら、中火で1分ほど煮詰めたら出来上がり。ハンバ
ーグを盛りつけたら、ソースは茶漉しをとおしてかけるとよい。お好みでブロッコリーやいんげんを付け合わせに。

 

#2 本格ハンバーグ
こちらは我が家の定番とは違う、玉ねぎが少なく、焼肉用(はらみなどの赤身
がよい)の肉を叩いて合わせて、オーブンで焼き上げる本格バーグです。肉のうまみを味わっていただきたいので、ソースはあっさりと大根おろしだけで。
肉の素材が1種類多いため、3〜4人でお試しください。レストランの味をお楽しみいただけます。

材料と作り方(4人分)焼肉用肉 150g、牛ひき肉 250g、豚ひき肉
250g 合計650g 玉ねぎ 中 1/2個分(100g、3/4カップ
程度)、粗塩小さじ1と1/4(全体の1パーセント)、パン粉 1CUP、卵
1個、ナツメグ 小さじ1/3、牛乳大さじ1.5、植物油 小さじ1、大根
おろし 適宜、ポン酢 適宜

焼肉用の肉は包丁で細かく刻んでおく。叩くイメージ。

玉ねぎはみじん切りにしてラップにくるみ、2分ほどレンジで加熱する。

オーブンは250度に温めておく。

ボウルに玉ねぎを入れて、肉、粗塩、パン粉、卵、ナツメグ、牛乳を加える。

全体を100回ほどよく練る。フライパンを強火で熱し、オリーブ油を加え、少し火を弱めたら両面を1分半ずつ焼いて、焦げ目をつける。

耐熱器にのせて、オーブンに入れて10分火を入れる(合計13分)。お好みの量の大根おろし、ポン酢を少々かけていただく。

 

 

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行正 り香

福岡生まれ。広告代理店に就職しCMプロデューサーとして活躍。2007年に、広告代理店を退社。著書に、「だれか来る日のメニュー」、「おうちに帰って、ごはんにしよう。」「19時から作るごはん」など39冊がある。中国語版、韓国語版にも翻訳済。NHKワールドでは「Dining with the Chef」のホストを務め、世界に向けて日本料理をプロモートしている。

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