年末、遊びに来ていた姪っ子(姉・りかちゃんの子供)が「私、1ミリもちがうことなく分ける自信あるから」と言い、コーラをつぎわけた。キッチンにこもり、長い時間をかけて。その顔は真剣そのもの。さすが、姉の娘!そして、私の姪っ子!
私と姉は、一つ違いの、いわゆる年子。思えば、子供時代、こと、“食べ物”に関しては、ものすごく執着。争いがたえることはなかった。
★カルピス編
「カルピスよ?。」母・よしこの声がすると、私たち二人は、一目散に走っていく。そして、カルピスを前に、“せいのっ!”とばかりに呼吸をあわせ、「じゃんけんぽんっ!!」。手先にものすごい力をこめて“じゃんけん”をする。そこまでは、どこの家庭でもよくある風景だと思うけれど、私たちの場合、そこから異様な雰囲気につつまれる。じゃんけんに勝った方がどちらかを選べるのだけれど、「じゃ こっち」なーんて、すぐには決まらない。
まずは、テーブルの横に座り込み、グラスの中の“カルピスのかさ”を目で確かめる。しかし、かさだけに惑わされてはいけない。氷の数も、重要なチェック項目となる。かさがこっちのが高い、と思ったら、氷が一つ多かった、なーんて事もあるので気は抜けない。
次に重さ。ちがうグラスにカルピスが注がれている時は困難を極める。見た目に惑わされてはいけない。案外持ってみると、見た目と重さは関係ないものだ。右と左にグラスを持ち、交互にグラスを上げ、時には、目までつぶって、指先の神経を研ぎ澄ます。
カルピスを選ぶのは、大変なイベントなのだ、私たち二人にとっては。
★ケーキ編
子供の時、毎日食べられるおやつではないだけに、ケーキが登場すると、この時ばかりは、じゃんけんより先に下見がはいる。
まずは、ケーキの箱をぐるりと一周し、一つ一つをじっくり、横、斜め、上と、あらゆる方向から見る。同じ種類のケーキでも、もちろん手を抜かず同じ作業が行われる。だって、スポンジ部分の膨らみや、上にのっかっているイチゴの大きさは、一つ一つ微妙に違うのだから。
そして、一連のチェックが終わると、またまた、“せいのっ!!”とばかりに、「じゃんけんぽんっ!!」。私がねらい勝ちしたケーキを手にしたとき、姉が悔しそうな顔をしているのを見ると、たまらなかった。その顔を横目でちらちら見ながら食べるケーキ、なんと美味しかったことか。