行正り香 オフィシャルサイト | FOOD/DAYS

過去の記憶

過去の記憶


子供たちに映画「インサイド・ヘッド見よう!」とさそったら、断られまして(笑)。どうしても見たいんだけど、アニメ一人で見に行くのもさびしいしなぁ、と写真の整理をしております。

こちら、カリフォルニアの写真。車で走っていて、あまりにきれいだから、車を止めて撮影したときのものです。ずっとこういう道が続く。そのときは「あ、きれい」くらいなものでしたが、今になっては、いろんなことが、自分の未来につながっていたんだなぁ、と不思議に思います。写真って、撮るその瞬間は「いいかな、でもやめとこうかな」と迷うのだけど、何年か経て見返したときに、すごく価値ある時間だったのだと思います。

そういえばあるとき、それも大変な思いをしていたころのこと、叔母が「りかちゃん、感じたことを言葉に書き留めておきなさいよ。今は何の価値がなくても、未来のりかちゃんに、そして子供たちに、価値が生まれるのよ」と言われたことがありました。叔母はすてきな俳句を書く人で、たしかにその一句を見るだけで、叔母の目から見たおばあちゃんの姿が見られます。改めて「おばあちゃんって、すてきな人だったんだなぁ」と伝わってくる。私にとっては、いつもお台所で三ツ矢サイダーをくれていたおばあちゃん、そして入院先でベットの上で、正座をして、看護婦さんにお礼をいうおばあちゃんだったけど、きっともっと深いところで、いろんなことがあったんだなぁ、と発見があります。たった一つの俳句から、見えてくるたくさんの景色。たった一枚の写真から、見えてくる私の過去と未来もある。

少しずつ写真を整理して、インサイド・ヘッドを諦めるか、いや、やっぱり写真をさっさか整理して、一人で見に行こうかな。蝉しぐれを聞きながら過ぎてゆく、静かな日曜日です。

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行正 り香

福岡生まれ。広告代理店に就職しCMプロデューサーとして活躍。2007年に、広告代理店を退社。著書に、「だれか来る日のメニュー」、「おうちに帰って、ごはんにしよう。」「19時から作るごはん」など39冊がある。中国語版、韓国語版にも翻訳済。NHKワールドでは「Dining with the Chef」のホストを務め、世界に向けて日本料理をプロモートしている。

13件のフィードバック

  1. インサイドヘッド、見ました!娘たちまだ小さいので一緒にきてくれました。笑 断られるという未来も覚悟しておきます。笑 映画始まる前からしんみり、一人涙ながしておりましたら、ママ、どこが泣く場面なの?と長女呆れて笑われました。笑 あなたも大人になったらきっとわかるのよーと。
    私も今日昔の写真を見返してました。旅行記を写真とともに書いているのですが、これが結構大変。毎回諦めたくなります。でも、まさに今日、頑張ってよかったなぁとしみじみしてたんです。夫にもありがとうと言われちゃいました^_^

    1. あいさん、消えていくものこそ、価値を見出し、ときに振り返るのはとてもすてきな時間ですね〜。

  2. り香さん、私は公開当日、高3の娘に誘われて観てきました。
    娘はアメリカで生まれて、小さい頃の楽しい思い出を全部アメリカに置いてきているので、
    良い映画だったとさめざめと泣いていました。
    もっと小さな小学校低学年以下の子供達もそれぞれに共感する場面で声をあげて泣くので、こちらももらい泣きしてしまいました。
    泣けるから良いとかではなく、ピクサー20周年記念にふさわしい深いお話でしたよ。

  3. り香さん、お嬢様達の成長、嬉しいやら淋しいやらですね。
    映画、ご一緒したいくらいです^^;

    質問ですが、FOOD/DAYSで使われているワイ ングラスはZWIESEL の物ですか?
    テーブルコーディネートのp77で紹介されていたものと似ているなぁ…と。
    形が好きだったので…pureというシリーズでしょうか。

  4. インサイドヘッド、今泣いていたと思ったらもう笑っている秋の空どころの騒ぎじゃない1歳の息子の脳の中を覗いてみたいです。そして明日から夫の実家があるアメリカに帰省しますがナパにも1泊します!赤子連れなんで不安の方が大きいですが、美しい景色が記憶には残らなくとも息子の何かに残れば良いなと思います。今までエッセイなどでり香さんの子育てマインドは垣間見えましたが、とてもその考え方が好きで是非是非子育て本を出していただきたいと願っています。

  5. こんにちは!
    暑いですね~。こんな暑い毎日、涼しい映画館で過ごすのもいいですね。
    子供が産まれてから映画もぜんぜん見てませんが、
    りかさんのお話読んでたら、また映画もいいな~、と
    思ってきました。
    とはいえ、まだまだ自分の観たい映画を選べる立場でもなく、
    明日は子供たちのリクエストでポケモンの映画を観に行ってきます。(笑)
    インサイドヘッドよさそうですね。
    ちょうど長男も主人公と同じ11歳。
    そろそろなにか感じてくれるお年頃かな~・・・

  6. 私が行正さんの本をほとんど購入してしまう理由に、もちろんお料理が作りやすく
    美味しいという理由もありますが、同じくらい文章が素晴らしいからです。
    お料理とともに文章もよく読み返しています。最近ではいいなと思う文章を息子にも読ませると
    ママが好きなのがよくわかるね、と言われます(笑)。
    私が今ぱっと思いつく感動したお話は、留学先から家族に久しぶりに電話した話し、
    おじさんが亡くなった時のお話や妹さんの一度だけ泣いたお話(やさしさぐるぐる)、
    にわとりとの泣きながらのお別れのお話、、、などなど他にもいろんなお話を繰り返し読んでも、
    感動するし勉強になります(21時から作るごはんの本の文もいいのばかりだったな)。
    今回の叔母さんのお話もとてもためになりました。今度の本でもいろんなお話を楽しみにしております。

    1. ワイン大好きさま、どうもありがとうございます。うれしいなぁ。最初は文章書くのが本当に苦手で(笑)どうしようかと悩んでおりました。今は
      こうしていろんな考え方や思い出を共有していただける方がいて、しあわせだなぁ、と思います。ありがとうございます!

  7. り香さんこんにちは。り香さんは写真をどんな風に保管されていますか?
    私はSDカードのデータは現像せず、見たいときはパソコンで見ています。
    写真は箱に入れてあるだけです。
    写真に愛着が湧いて、かつ嵩張らない保管の仕方があればいいなぁ。

    1. 私はハードディスク2つに入れています。バックアップもかねて。思い出は大切なので
      ひとつなくなっても、もう一つでバックアップできるよう。
      最近はプリントしなくなちゃいましたねぇ!

  8. 年末にベイエリアに移住予定で、この夏休みは下見に行ってきました。むすめが通う中学と高校を見学したり、住まいをいくつか見てきました。最短でも10年は住む予定なので、広い青空と遠くまで伸びる道路を眺めながら、その先に続く、家族の未来に思いをはせました。

    り香さんの本も、全部たずさえて行きます! (サンノゼの紀伊国屋書店に、り香さんの本がありましたよ)

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